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Date:  Thu, 05 May 2005 17:48:13 +0900
From:  Satoru Matsumoto <satoru-m@msi.biglobe.ne.jp>
Subject:  [MekongWatch]ラオス・ナムトゥン2ダム>朝日新聞の記事
To:  news@mekongwatch.org
Message-Id:  <20050505174142.8B84.SATORU-M@msi.biglobe.ne.jp>
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メコン・ウォッチの松本です。

本日5月5日の朝日新聞朝刊にラオスのナムトゥン2ダムに関する記事が掲載され
ました。版によって一部削られている部分があるようですが、以下に全文を転送
します。

***************

ラオス、売電狙いダム開発 水没450平方キロ、移住6千人

【バンコク=貝瀬秋彦】ラオスで同国最大規模の水力発電ダムの建設計画が動き
始めた。世界銀行など国際金融機関の支援決定を受け、工事が始まる見通しだ。
環境への影響などが指摘されているが、発電量の9割以上を隣国タイに売って外
貨収入増をねらうラオス政府は、09年の完成を目指している。

メコン川に注ぐナムトゥン川中流域の「ナムトゥン第2ダム」で、地元住民約6
千人を移転させ、琵琶湖の約3分の2にあたる450平方キロメートルを水没さ
せる。発電能力は107万キロワット。発電量の約95%をタイに売る計画だ。
総事業費はラオスの国内総生産(GDP)の約6割にあたる12億5千万ドル
(約1300億円)で、ラオス電力公社やフランス電力公社などが出資する合弁
企業が経営する。

90年代半ばに計画が本格化して以降、非政府組織(NGO)などが環境への影
響などを懸念し、反対を表明してきた。発電所の水の放流で、別の川が増水して
生態系が変わり、流域の10万人以上の漁民らが漁獲量の減少に直面する可能性
などが指摘されている。希少動物が生息するナカイ高原の4割が水没するため、
鳥類やアジアゾウの生息が脅かされるとの指摘もある。

世銀は3月に「水没地周辺の森林保護プロジェクトなど、様々な対策で対応でき
る」などとして支援を決めた。2千万ドルを贈与し、計画に参加する民間金融機
関の融資計2億5千万ドルも保証する。アジア開発銀行も4月、7千万ドルの融
資と5千万ドルの民間債務保証を決めた。民間資金も動きだし、建設が始まる見
通しだ。

ラオスの1人あたりの国民総所得は300ドル(約3万円)前後。政府は売電で
外貨を獲得するため、90年代からダムの建設を本格化させた。すでにアジア開
銀などの融資で、1万キロワット以上の中規模な発電施設が5つ完成。売電は多
い時には、外貨収入の半分以上を支えてきたとされる。

支援を決めた世銀に対し、米国のNGO「国際河川ネットワーク」や世界自然保
護基金(WWF)などが、「周辺住民の生活や環境を脅かす」などの声明を発表
した。特定非営利活動法人(NPO)「メコン・ウオッチ」(本部・東京)の松
本悟代表理事は「過去のダム開発でも生態系が破壊されている。ラオス政府や世
銀の対応をきちんと監視していきたい」と話している。

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