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Date:  Tue, 27 Apr 2004 15:19:24 +0900
From:  Satoru Matsumoto <satoru-m@msi.biglobe.ne.jp>
Subject:  [MekongWatch]カンボジア漁業>前年比20パーセント減
To:  news@mekongwatch.org
Message-Id:  <20040425144705.7017.SATORU-M@msi.biglobe.ne.jp>
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メコン・ウォッチの松本です。

カンボジアの漁獲高が大きく減少しているようです。政府関係者は旱魃による影
響を強調しています。その一方で、比較的富裕な層に有利な漁業改革や上流での
開発の影響などを指摘する声もあります。

カンボジアの農村部に住む人々にとって、淡水魚は貴重な動物性たんぱく質を与
えてくれてきました。援助機関などによって貧困削減が声高に叫ばれる一方で、
淡水魚に依存する農村の生活は確実に苦しくなっているようです。

以下、カンボジアの英字新聞カンボジア・デイリー紙の記事を、メコン・ウォッ
チボランティアの栗林健太さんが翻訳しました。

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漁獲高20パーセント減
カンボジア・デイリー
Van Roeun and Solana Pyne
2004年3月31日

今年の漁獲高は前年に比べて20パーセント減少するだろうとカンボジア政府の水
産関係者らは見ている。雨が少なく、メコン川の水位が最近10年間でもっとも
低いと報告されている中でのことだ。

先週、メコン河委員会は旱魃によりメコン河の水量が過去10年でもっとも低くなっ
ていると伝えた。同委員会は急激な水量の低下が稚魚から成魚まで生き残る数を
減らし、それが漁獲高に影響しているのではないかと言う。

月曜日(3月29日)、農業省のNao Thuok水産庁長官は、旱魃の影響によって漁獲
高は昨年の30万8750トンよりも今年は実質的に少なかったのではないかと話した。

Nao Thuok長官は、「今年の漁獲高は昨年に比べ15−20パーセント少ないはずだ。
それは不十分な水量のためである」と語った。

長官はまた、Kandal州のPonhea Leu地区で大規模な網漁を行っている国営のDai
水産の漁獲高は、昨年に比べ30パーセント減となったと語った。しかしながら,
雨があまり降らなかったという理由は150〜200万人の食料を支えている淡水魚資
源を減らしたいくつかの要因の1つに過ぎない、漁業関係の活動をするNGOは火曜
日(3月30日)にそう語った。

同じ日,漁業行動連合チーム(the Fisheries Action Coalition Team)のマック
・シチリット代表は、「違法漁業の横行や効果のない法律の適用も、水量の低下
と同様に魚の数を減らした主要な理由である」と語った。

今週,漁師たちもまた、漁獲高が大幅に減少したと報告した。

55歳のDoeun Phinさんは、Kandal州のPonhea Leu地区で人生を通してずっと漁業
を行ってきた。月曜日(3月29日)彼女が語ったところによれば、今年の漁獲高
は彼女の記憶する中で最もひどいものだったという。

「獲れる魚の量が減って毎日不安でしょうがない。昨年は1日当たり10キロ獲れ
たのに今年はキロ程度です」と語った。

同じPonhea Leu地区で漁業をする60歳の漁師Lae Havさんは、獲れる魚の量が一
気に落ち込んだと言う。

「去年は1日当たり50キロ獲れた」、Laeさんは大きな魚が獲れなくなったので、
小魚用の漁具を使い始めたと語った。

火曜日(3月30日)、オックスファムGB(グレイトブリテン)のプログラムオフィ
サーのNgin Navirakさんは、乱獲もまた漁業資源の確保を難しくしていると話し
た。

農民や漁民が言っているのは、予想することができない洪水や旱魃の発生により
人々は、米を作るよりも漁業により生計を立てるようになったらしい、とNgin
Navirakさんは話した。

「以前は、いつ洪水が起こるのかわかったので、米作りの計画を立てられました。
しかし今は予想すらできない。だから農作物を作るのをやめ、ただ単に魚獲りを
するようにしたのです」と彼女は語った。

2000年から始まった漁業改革は、貧困削減を目標としている。しかし、今のとこ
ろその恩恵のほとんどは富裕層に行っているだけでなく、漁獲高をも減らしてい
るようにしか思えないとNgin Navirakさんは言う。

農業省により導入されたこの改革により、これまで商業目的の大規模な漁業者の
ために保全されていた川の56パーセントが、中・小規模漁民に開放された。

また、この改革にともない中規模漁業者から徴収していた入漁料も撤廃となった。

しかし、Ngin Navirakさんは、お金のある人たちは、違法漁業を行う際に、役人
に別の形でお金を払うだけだと感じているため、貧しい漁民たちは落胆している
と話した。

裕福な漁民たちは、入漁料が減った分をより大きな漁具を買うために活用するこ
とができている。

「一方で貧しい漁民たちは未だに小さな漁具を使うに留まり、少ない数の魚しか
獲れないのだ」とNgin Navirakさんは言う。

特に中国のメコン河上流や隣国の支流に建設されたダムもまた、漁業資源に害を
もたらしているかもしれない、Ngin Navirakさんらは言う。

メコン河委員会は、今年の10年来の水位低下が上流に造られたダムによる直接の
原因とはいえなのではないかと言う。しかし、すでに完成したものや建設中のも
のも含めて、ダムがカンボジアでの漁獲高に影響しているのではないかという長
年に渡る懸念が横たわる。

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