メコン・ウォッチの松本です。
2月11日にカンボジアのプノンペンで、カンボジア政府、メコン河委員会、国連
食料農業機関(FAO)が主催して、大河シンポジウム(Large Rivers Symposium2)
が始まりました。世界中から河川管理の専門家、計画官、高官が200人が参加し
ています。
その機会に、カンボジアのフンセン首相が、メコン河上流開発について懸念を表
明しました。
以下、メコン・ウォッチの土井利幸(バンコク)の報告です。
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メコン河上流開発についてはかねてからカンボジア政府が公式・非公式に憂慮を
表明して来ましたが、今回はフン・セン首相が自ら懸念を表明したというAPの記
事(日本語訳)です。
http://www.enn.com/news/2003-02-12/s_2627.asp
フンセン首相、メコン開発が命の源(みなもと)トンレサップ湖を枯渇させる恐
れを警告
2003年2月12日AP
Ker Munthit署名記事
【カンボジア・プノンペン発】2月11日火曜日フンセン首相はメコン河上流域で
の開発プロジェクトを無頓着に進めるとトンレサップ湖が枯渇する恐れがあると
警告した。トンレサップ湖は貧困国カンボジアにとって魚類の宝庫として重要で
ある。
環境保護団体は、中国国内でのダムや運河建設がメコン河の環境を脅かしている
と指摘している。
中国はカンボジアにとって同盟国であると同時に、海外投資や開発援助の供給国
としても需要である。フンセン首相は発言の中で具体的な国名はあげなかった。
全長4,880キロメートル(3,030マイル)のメコン河の源流は中国にあり、ミャンマー
(ビルマ)、ラオス、カンボジア、ベトナムを流れながらトンレサップ湖をはじ
め支流に水資源を供給している。【1】
フンセン首相によれば、メコン河上流で行なわれている水力発電用ダムの建設や
航路拡充のための浚渫工事がカンボジアをはじめとする下流国に「大きな不安」
を与えている。「結果として…トンレサップ湖が干上がるかも知れず、(あげく
のはてには)淡水漁業の壊滅につながる」と首相は河川管理に関する国際会議の
場で発言した。
「トンレサップ」は「偉大なる湖」を意味し東南アジアで最大の淡水湖。地元住
民たちは何世紀にもわたってこの湖で取れる魚に依存し生活している。雨季には
約一万平方メートル(3,900平方マイル)に達する面積が乾季には大幅に縮小す
る。
近年カンボジア政府関係者はトンレサップ湖の魚が減少していると認識しており、
これを上流での開発のためだと考えている。
「嘘ではない。トンレサップ湖が干上がればカンボジアだけではなく地域一帯が
影響を受ける」とフンセン首相は語った。「水位の変化が重要な要素で…これが
あって一帯の人々の生活や生物多様性が持続可能になっている。」
毎年訪れる雨季に満水となったメコン河の水がトンレサップ湖に流れ込み、この
水が氾濫源をなし魚に産卵場所を提供する。
訳者注【1】:原文のまま。通常メコン河流域国にはこの五ヶ国にタイが加わる。
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