メコン・ウォッチの松本です。(転載歓迎、重複受信御容赦)
日本など先進国の援助で1994年に完成したタイのパクムンダム(世界銀行融資)
で、水門永久開放を求めて長い闘いを続けている住民たちが、川辺川ダムに反対
している住民たちに、応援メッセージを送りました。11月24日に熊本で計画され
ている『川辺川ダム・強制収用に反対する緊急集会&パレード』に向けた激励の
手紙です。
【パクムンダムと川辺川ダム】
パクムンダムと川辺川ダムに反対している市民の交流は、昨年から始まりました。
今年の3月には「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る福岡の会」のメンバー
寺嶋悠さんが、メコン・ウォッチのスタディツアーに参加し、川辺川の皆さんか
らのメッセージを携え、パクムンダム・サイトに抗議のため作られた「悠久なる
ムン川の村」を訪問しました。
【パクムンダムとは】
パクムンダムはタイ東北部を流れるメコン河最大の支流、ムン川の河口近くに建
設された水力発電ダムです(所在地:ウボンラチャタニ県)。このダムを巡って
は、1994年にダムが完成してからも地域住民による反対運動が継続し今日に至っ
ています。同ダムは世界銀行の融資を受けて建設されました。事前の調査で、流
し込み式のこのダムは貯水池が小さく環境や社会に優しい、とされていましたが、
実際は漁業に壊滅的な影響を及ぼし、地域社会に大きな負の影響を与えました。
【パクムンダムの水門永久開放を求める国際署名活動】
住民の声を受けてタイ政府は、環境・社会影響の再調査を行うことを決定、昨年
6月から水門開放が実施されました。たった一年で大きく回復した漁業資源を目
の当たりにした地元漁民の皆さんから、開放の継続を求める声が高まりました。
しかし、タイ政府は先月、調査結果の詳細を検討せずに年間4ヶ月間の水門開放
を閣議で確認してしまい、水門は閉鎖されました。住民側はこの不透明な決定を
覆すため、首相府の前で生活しながら様々なセミナー、会議に出席して事実関係
とダムによる窮状を訴えています。メコン・ウォッチでは海外の多くのNGOなどと
協力して、水門の永久開放を求める国際署名活動を行なっています。
【パクムンから川辺へ・激励メッセージ】
<川辺ダムと闘う兄弟姉妹の皆さんへ>
この手紙を書いている私たちは、今、首都バンコクの首相府前で座り込みを続け
ています。また他のメンバーも、東北タイのウボンラチャタニ県にあるパクムン
ダムの脇に、私たちが抗議のために作り上げた「悠久なるムン川村」にとどまっ
ています。バンコクにやって来て政府に抗議する事が、もういったい何回目にな
るのか覚えていないほどです。それでも、パクムンダムと闘う私たちは、どれほ
ど長い時間がかかろうとも――政府に対して反対の声を上げることでどのような
目にあおうとも――闘い続けるでしょう。なぜなら、私たちは川があって、その
豊かさの元で生まれるたくさんの種類の魚たちと共に暮らすこと、そして子供や
孫たちがその川を受け継ぐことこそが、幸せだと思うからです。これは平和な生
活のためなのです。
私たちは、皆さんが川辺川ダムの建設に反対していることを知りました。私たち
は皆さんに力いっぱい声援を送ります。皆さんの今回の闘いが、私たちと同じよ
うに平和な生活のためだと理解しています。闘いは、正義と、そして人としての
当然の権利のためなのです。自然と共にある生活、豊かな天然資源と共にある生
活を、政府が理解する日がやってくることは無いでしょう。ですから、皆さんは
幸せを自ら守らなくてはなりません。金銭に換えることのできる資源が貪欲な人
々のものとなり、その管理の元におかれることは避けなければなりません。そう
でなければ、皆さんの人生は、私たちパクムンの人間が10年間直面しているよ
うに、困難で悲惨なものとなってしまいます。
この10年間、私たちは極貧の生活にあえいできました。それはパクムンダムに
よって、川が破壊されてからのことです。メコン河からの(回遊)魚はダムを超
えることはできませんでした。自然が与えてくれていた食物は失われ、私たちは
収入にも事欠くようになりました。逆に、毎日お金はかかるのです。日々の生活
を支えるのは、魚を売ったお金から、若者が都市に出稼ぎに出て安い賃金で重労
働をして得たものに変わってしまいました。
私たちは、ダムの建設が終わってしまえば、それによって失われるものと被害が
どのような場所においても同じだと信じています。私たちは、皆さんの今回の闘
いの一部に加わらせていただき、励ましを贈りたいと思います。自然が私たちの
地域社会と共にあるよう守っていくことは、政治力や経済力のある人々の利益に
反することです。闘いの間に何に出会おうとも、しり込みせず、強くなってくだ
さい。
闘いが成功することを祈っております。
敬意をこめて
貧民フォーラム・悠久なるムン川の村メンバーより
仏暦2545年(2002年)11月15日 首相府前にて
(原文タイ語、翻訳木口由香)
■■■問い合わせ・連絡先■■■
【日本国内、川辺川集会について】
川辺川ダムについての詳細は下記のホームページをご覧下さい。
子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会 http://kawabegawa.jp/
TEL070-5273-9573 FAX0968-72-5604 土森 email tsuchi_t@d1.dion.ne.jp
【タイ国内、パクムンダムについて】
メコン・ウォッチ 木口由香 YHT01357@nifty.ne.jp
【日本国内、パクムンダムについて】
メコン・ウォッチ 松本もしくは福田
電話03-3832-5034、ファックス03-3832-5039
email info@mekongwatch.org、http://www.mekongwatch.org
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