メコン・ウォッチの松本です。
新聞・テレビで、連日、プノンペンのASEAN関連会合のニュースが報道されてい
ますが、多くはテロや北朝鮮に関するニュースです。しかし、実際には、現地の
住民生活にとっては大きな影響を与えるかもしれない合意もなされています。
その1つが、ロンドンのフィナンシャル・タイムズが報じた、メコン6か国が合意
した水力発電ダムを前提にした地域的電力市場の創設です。日本が最大の資金供
与国となっているアジア開発銀行(ADB)が、メコンのダム開発を一層支援する
のではないかと懸念されています。
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6か国がメコン水力発電計画に合意
2002年11月4日
Financial Times (London)
SECTION: ASIA-PACIFIC; Pg. 10
BYLINE: By AMY KAZMIN
メコン河を共有する6か国は、昨日、この地域的配電システムに合意した。この
システムは、生態学的にセンシティブなこの地域における野心的な水力発電開発
プログラムの基礎となるだろう。
昨日の(メコン)首脳会談で中国、タイ、カンボジア、ラオス、ベトナム、それ
にビルマの政府が署名した合意では、調印国は、最終的には電力の国際市場を開
くことになる。
第1段階として、6か国は地域的な電力貿易のための規則、議定書、それに法的な
枠組みを作るための、高級レベル委員会を設置した。プロジェクトを支援してい
るアジア開発銀行の職員は、これによって地域的な送電網の「概念的」基盤が提
供され、非常に必要とされている発電能力への民間投資を魅了する手助けになる
と考えている。
「とても重要だ、とても広範なものだ」、アジア開発銀行メコン局のラジャット
・ナグ局長は言う。「もし水力発電を開発するなら、ラオスのような供給国とタ
イやベトナムのような需要国がある。この地域で全体的なアプローチをすること
はより合理的だ」
しかし、環境グループは、地域的な電力市場の創設は、メコン河流域のダム
建設の新たな高まりに向かう最初のステップだと警戒する。それは、4880キロの
メコン河やその支流に住む数百万人の、そして大部分は教育を受けていない人々
の生活を破壊するだろうと言う。
環境グループは、ラオスのトゥンヒンブンプロジェクトのような初期の段階で作
られたダムや、中国のメコン河上流で建設中のダムプロジェクトは、数千人の人
々を住んでいた土地から強制的に切り離し、その一方で、この地域の権威主義的
な政府は、希望を失った立ち退き住民たちをほとんど助けていない。環境グルー
プは、更なるダム建設の推進は、問題を悪化させるだけだと主張する。
「生態的、社会的な災禍につながるだろう」、国際河川ネットワークの活動家で
あるAviva Imhof氏は述べる。アジア開発銀行は、「大メコン圏」と呼ばれる国
々の政府と緊密に業務を行なっているが、アジアの中でも最も貧しい地域の1つ
であるこれらの国々にとって、電源開発を優先事項の1つとして焦点を当ててき
たのである。
中国はすでに上流域で、ダム建設路線を緒につかせた。1つ目が完成、2つ目がほ
ぼ完成、3つ目が建設中、更にいくつかが数年後を目指して計画されている現状
によって、下流のいくつかの隣国を不安に陥らせている。その一方で、ラオスの
共産党政権は、タイへ電力を輸出する11億ドルの水力発電プロジェクト(ナムトゥ
ン2ダム)への資金提供確保に希望を託している。
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