メコン・ウォッチの松本です。
【重複で受信された方、御容赦下さい】
カンボジアの首都プノンペンで初めての「メコン首脳会議」が開催されました。
すでにこのメールニュースでお伝えしていました通り、この会議をめぐる市民社
会側からの最大のテーマが、中国による上流開発でした。以下、朝日新聞は、中
国にスポットをあてて、この初のメコン首脳会談を報じています。
メコン・ウォッチからは3人のスタッフが現地に行っており、後段にありますオッ
クスファムを中心としたNGOの動きの中に、深く関与しています。
なお、新聞記事ですので、禁転載でお願い致します。
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中国がメコン川の流域開発を提案
初の流域圏首脳会議
朝日新聞(Web版、2002年11月3日午後9時)
東南アジアを貫くメコン川の流域6カ国による初の首脳会議「大メコン流域圏会
議」が3日、プノンペンで開かれた。中国の朱鎔基首相が資金援助を含めた総合
的な流域開発への支援計画を提案。東南アジア諸国連合(ASEAN)への接近
外交の「果実」をアピールした。
参加国は、中国のほかにベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマー(ビ
ルマ)。首脳らは今後10年間で11件、10億ドル規模の開発計画を承認し、
貿易促進のための国境通関の簡素化や電力取引の覚書に調印した。さらに朱首相
は、雲南省からラオス、タイを結ぶ高速道路網やダムの整備など、プロジェクト
への支援を表明し、中国側の積極性が際だつ中身になっている。
中国は「瀾滄江(らんそうこう)」と呼ぶメコン川を「国内河川」と主張し、過
去にはASEAN諸国との協力には消極的だった。
政策を転換した背後には最近の中国のASEANへの急接近がある。4日に調印
する自由貿易協定(FTA)と、すぐに着手可能なメコン開発とを組み合わせ、
ASEANとの連帯を確実にしたいとの思惑だ。
ASEANも交通、観光、資源開発など多くの分野での産業創出を期待。アジア
開発銀行(ADB)のメコン川開発部門責任者、ラジャ・ナグ氏は「10年以内
に流域の国境の壁は事実上、取り払われる」と見る。
メコン川開発は政治・外交と切り離せず、冷戦時のタイとベトナムの不仲や中国
・ASEANの対立で関係国の足並みが一致したことはなかった。今回の首脳会
議の開催自体を「歴史的な達成」(カンボジアのフン・セン首相)ととらえる見
方すらある。
だが、中国の動きには環境団体などから警戒の声も出ている。
非政府組織(NGO)のオックスファムは3日、プノンペン市内で流域住民と共
同記者会見し、「タイやカンボジアでは上流の中国のダム開発や船舶の航路確保
の浚渫(しゅんせつ)工事で不自然な水位の変化が起こり、漁業や農業など住民
の生活基盤を脅かしている。開発には下流住民の生活や生命保護の視点が必要だ」
と訴えた。
またメコン川開発で中国は水陸両面で南方への交通路を確保し、貿易、軍事両面
で大きなプラスとなるが、その結果、流域が「中国の裏庭」となってしまうこと
や不法移民・密輸の増加への懸念も指摘される。
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